5  結論

早くは1976年ごろ、後に1979年の『ディスタンクシオン』で取り上げられることになるライフスタイルの調査でブルデューは、対応分析を思慮深く創造的に利用した(訳注:「嗜好の解剖学」)。この「レッスン」からの主要な結論は、今日でも有効である。

  1. 調査票の分析において対応分析をするだけでは「ブルデュー的な分析」にはならない。基本となる社会的空間は、個人を多元的に表示するにあたって十分に関連した変数のセットから構成されねばならない。

  2. 対応分析を使うことは(今日皆が好む回帰分析のような)他の統計技法の使用を妨げるものでない。というよりも社会空間に対するブルデューのアプローチとのつながりを維持するのであれば、これらの技法を並列するのではなく、解釈の中心におかれる幾何学的表現の中に統合するべきである。

  3. 実用的なレベルで、広範囲にわたる幾何学データ解析は 今日ではこれまで以上に容易に遂行可能であり、グラフィカルな表示の改良は クラウドの詳細な探索をとりわけ実り多いものにすることができる。

統計のアートの発展(Le Roux、 Rouanet 1998に描かれているように)を考慮に入れた、幾何学的データ解析の創造的利用を擁護することによって、我々はオブジェクトの構築と調査プログラムと科学的な仕事に転換する機関(道具)を統合するというブルデューの意思を満たす社会空間の構築と調査を、同様に擁護する。