1  概要

この論文は、ブルデューの方法で自らのデータを分析したいと希望している社会学者を念頭において、ブルデューの『ディスタンクシオン』における対応分析(CA)の使い方を(説明)解明する。

ブルデューにとってCAは単にデータを視覚化するための手軽な道具であるのではなく、個体とプロパティという2つの関連した空間を暴き出すための唯一の装置である。

『ディスタンクシオン』を丁寧に読むことで、〈個体 \(\times\) プロパティ表〉の解釈を主要に補助するものとして対応分析を思慮深く創造的に利用していることが明らかになる。この「レッスン」からの主要な結論は、個体 \(\times\) プロパティ表を、CAで分析するか、とりわけ多重対応分析(MCA)によって分析するかにかわわらず、今日おいても有効であるということである。

調査票の分析において対応分析を用いるだけでは「ブルデューっぽい分析」をするには十分ではない。基本的な空間は、個体を表示するために完全な多次元の十分に関連した変数のセットから構築されなければならない。(★)

キーワード: ブルデュー、ディスタンクシオン、幾何学的データ解析、個体 \(\times\) プロパティ表、 対応分析、個体の雲、同時表示。