4  幾何学的典型性検定

本章では、幾何学的典型性検定(略して幾何学的検定)を提示する。

  1. この検定は、GDAユーザーが頻繁に問う

クラウドアレイの平均点が基準点から逸脱しているのは真の現象か、 それとも偶然によるものか

といった疑問に答えるものである。

本検定は、基準点に対するクラウドアレイの平均点の典型性検定とも呼べる。幾何学的典型性検定は第6章において、パーキンソン研究(156ページ参照)に適用される。

4.1 検定の原理

まず、幾何学的典型性テストの代表的な事例となる二つの状況を示し、その後、テストの手順を簡潔に説明する。

4.1.1 パラダイム的状況

次の二つの状況を考えてみよう。

薬効

このデータセットは反復測定設計を用いた実験に由来する。対象患者群のパフォーマンススコアを、薬剤投与前(機会A)と投与後(機会B)の2回にわたり記録したものである。

問題点は以下の通り:

治療は効果があるか?仮に治療に効果がない場合、各患者において「治療前」のスコアが「治療後」のスコアより大きい確率と小さい確率は等しい。言い換えれば、任意の患者のスコアペアにおける順列と逆順列の確率は同等である。検定を構築する一つの方法は、「治療前」と「治療後」のスコア間のデータの可能な全ての並べ替えを作成し、ペアを固定したまま行うことである。詳細は

  1. Le Roux and Rouanet (2004, Chapter 8); Bienaise (2013, Chapter 2)を参照のこと。