3 組合せ典型性検定
本章では、典型性の組合せ論的(または集合論的(set-theoretic))検定、略して典型性検定を提示する。これは、ある集団の観察結果を、参照集団(当該集団がその部分集合である場合もそうでない場合もある)の観察結果と比較するものである。直観的には、この検定は次の問いに答える:
対象集団は参照集団に同化できるか? それは参照集団の典型と言えるか? あるいはより具体的に、
関心のある統計量に基づいて、対象集団の参照集団に対する典型性の程度をどのように評価できるか?
この検定は第6章の事例研究に適用される。
3.1 典型性の問題
本節では、典型性の問題が生じうる三つの状況をまず説明し、次に組み合わせ的典型性テストの原理を簡潔に概説する。 ### 典型的な状況
以下の状況を考えてみよう。
才能ある子どもたち
5人の才能ある子供を対象とした追跡調査において、ある課題についてグループの平均得点は20であった。一方、同年齢の対照群の子供たちの平均点は15、標準偏差は6であることが知られている。 心理学者は、才能ある児童の集団が、平均的に見て、比較対象となる児童集団よりも優れていると主張する権利があるか?